バレエの先生という存在 ④

バレエの先生という存在 ④です。今回でお終い!

先日幼稚園課外授業で、プレバレエの子供クラスの体験会を行いました。
事前に「バレエってこういったものですよ~」
と、短いバレエ作品動画を親御さん達に知らせたのもあり
「〇〇踊りたい!」「どうやって踊るの!?」
等、4歳児から沢山質問攻めに合いました笑

バレエの先生は様々なことを「伝える」役目もあって
「伝承」「継承」というのは、人から人へ伝えるもの。
過去に書かれた本を見る限りですが
難しそうに書かれてる理由も、今はその意味がわかる気がします。

ここで、バレエが今の形になっていった背景を引用します。

オペラ劇場の枠にはめられ、オーケストラの伴奏を伴う、抒情的な興行物としての方向に進むようになったバレエは、忠実な観客の支持するレパートリーに従って、興行されている。そしてバレエは、ギリシア、ローマの演劇的な舞踊に古い起源をもちながらも、実は比較的、後代になって誕生したものである。現代、通用している色々な慣習、スタイルは大体200年前につくられたものであり、
制作年月のはっきりしているレパートリーは、せいぜい100年以来のものである。

フランス大革命後、やっと宮廷劇場のかわりにオペラに使われる音楽、舞踊のための補助金が設置され、新に一般市民のための音楽、舞踊学校とオペラ劇場が生まれるように案った。そしてこれまで貴族の大宴会場で発祥し発展し続け、繊細さ、洗練さのみを特徴とした舞踊は、それが市民劇場に移されてから必然的により広範な発展をとげるようになった。
すなわち、一般の公衆にわかりやすいということが要求されて、内容上、技法上の領域が拡げられたのである。このことは、また、曲芸的な熟達を飛躍的に増加させることとなった。つまり、陸上競技の選手みたいに、技術的成熟の域に達した踊り手たちは、耐久力と可能性の記録を破ることにのみ専念する結果になる。

オペラ劇場とアカデミー(学校)との直結は、その特殊な機構を柔軟なものとし、国や都市の補助金を取り易くした。踊り手たちは、音楽家ともつながり相提携できるようになり、多少とも経済的な安定を得て、たえず巡業に追い回される必要がなくなったのである。一方、経済的保障に裏付けされた、招待による外国巡業はバレエの反映を高める結果となる。直接輸出の不可能な文字、または絵画とは違って、舞踊は言語の面での翻訳が要らず、また国によって異なる嗜好とも無関係である。したがって、バレエは外交、文化交流にもっとも有益な芸術とみなされることになる。(後略)

>一般の公衆にわかりやすいということが要求されて
の部分、なんだか、現代とどことなく似てるような・^^

この後この章をまるごと引用したいぐらい、詩的な表現と共に
「バレエの動きはこうあるべきなんだよ」が書かれているのですが
文字数的に無理なので、止めときます笑
また巡業が芸術的に価値を高めて繁栄する、というのは、モーツァルトのお話を
伺ったの時のと、とても似てる気がします。
今も昔も「お金」は大事。


最後にも「踊り手」という章の中より

踊り手は職人のようなものである。クラシックバレエの技術についていえば、ただ踊りたいという熱意だけで熟練の域にいたることは不可能と言っていい。
また単に練習にうちこむだけでもダメなのだ。そこには遺伝的な素質、先天的な天賦の才が要求される。そしてその上、肉体的な均整美と音楽に対する鋭い勘にめぐまれていなければならない。(中略)

だが、完璧な理想像とは空想の産物であり、非の打ち所がない肉体なんて、観念的には存在しても、実際にはありはしない。練習、研鑽によって欠点が補われ、長所が強調できるだけだ。(中略)

冒頭は、バレエのイメージそのものの文面。
多分きっと、ここがクローズアップされることが多いと思う。
でもその下の文面で現実として、じゃ、あなたはどう頑張りましょうか?に繋がるのですから
”選ばれた人だけがするもの”といったものでもないよ、とも受け止められる。

私もこれまで沢山のバレエの先生に出会い、そして育ててもらいましたが
皆どの先生も「理想像」を持っている訳で
でも、今振り返ってみると「その先生の理想を押し付けられた」
と、感じた時はやはり余り良い気分ではなく・
だけどその理想と一緒に、自分の個性を認めて育ててもらえた、と感じられた場合
感謝の気持ちが沸いてくるものじゃないかなぁと。
そしてその接し方が、昔と今とはかなり違って来てる、という点なのだと思います。


今回これを書いてみたのは
「読み手側も、少し新鮮に感じてもらえたらいいな」
というコンセプトがありました。
なので、あえて古い本を参考にし
引用を盛り込んでみましたが、いかがだったでしょうか。
(今とは少し違うんじゃない?と感じる価値観の記述もあったりするけれど
でも、重量も含めて内容に重みのある本だなぁと改めて。)


バレエの先生、というのが少しでも理解として広まれれば幸いです。
その上で、バレエに親しむ人が増えて行ってくれたらなーとも願っています。

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