新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」鑑賞記

今も昔も私の場合、舞台鑑賞は「1回を大切に」観るようにして、その日のキャストを楽しむようにしています。
長く舞台鑑賞をしていると、”主役”の存在がどの位いるかで、そのバレエ団の目指すものが分かるような。
1日しか公演が出来ない場合と、2週間近く継続して公演が出来る環境では事情が違いますもんね。だけど、どちらも舞台にかけるエネルギーは強いです。

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先日拝見した主なキャスト(4/28 マチネ公演)
ニキヤ:廣川 みくり
ソロル:井澤 駿
ガムザッティ:直塚 美穂
大僧正:中家 正博
黄金の神像:森本 亮介

振付/ マリウス・プティパ
演出・改訂振付/ 牧 阿佐美
音楽/ レオン・ミンクス
指揮/ アレクセイ・バクラン


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ニキヤの廣川みくりさん、とても丁寧で可憐な踊りでした。ニキヤが醸し出す独特の身体の線というのがあるけれど、それを巧みに見せつつ踊っていました。今回初役であそこまで踊れたら、素晴らしいんじゃないかしら。
ガムザッティの直塚さん、以前から前評判も高くて想像通りでした。大胆さや醸し出す雰囲気も「きっとそうだろうな」という感じで、期待を裏切らない。
でも(個人的に)前情報の無い踊り手が「え!?なんかすごいかも?」というのは、意外性があって観てて面白いものです。
きっと廣川さんはこの先「化ける」と思ったりする。

この作品には一人の男性(ソロル)を取り合って争うシーンがあるのですが、直塚さんが気迫で押しまくったので、廣川さんとしては一瞬引いてしまった感があったようにも見えたけど、でも目の前で高圧的に押しまくられたら、片方はちょっと醒めた感情になりつつも後から激高するというのは、人間の感情として大いにあり得ると思う。そういった絡みにも見えました。
(なのでよく海外の動画に上がっているような、お互い同時にヒートアップしてるというよりも、わずかな時間差で怒ってる、という風にも見えたり)
そういったお芝居はそれぞれの役作りの結果だと思うので、そんな見方も出来るんじゃないかなと思います。

ソロルはバレエ作品に欠かせない「クズ」扱いされているけれど(笑)、意志が弱いというより身分階級的にそうせざるを得なかったんじゃないかな、と今回初めて感じました。そう言った意味で井澤さん、好演されてました。身分の差は今の時代よりもずっと強くて逆らえないもので、そういった面をちゃんと感じさせるキャスト、中々珍しいかもしれない。(ニキヤは巫女で結婚はできない身、ソロルは戦士、ガムザッティは王侯の娘)

それにしても「ラ・バヤデール」の影の王国、昔私も何度か踊ったことがありますが、同じ牧版の振付で見ていて懐かしく感じるのと同時に、このコール・ド・バレエ(群舞)だけは、本当に妙な緊張感を観てる側にも与えるなぁと思いました。プティパは何をイメージしてこのコール・ド・バレエを考えたんだろうか?傾斜30度の坂をずっと片足アラベスクを繰り返しながら降りるって、超人技ですから・・・


先だってはバレエ「ラ・バヤデール」の時代背景という記事を書いてみましたが、公演のパンフレットには評論家の高橋さんが作品解説として寄稿されています。オリエンタルとかエキゾチック、という世界観、19世紀のロシアではまだまだ未知な存在だったのかも。
GWの5/5まで上演中です。後半にもし行ければ、また別キャストで観てみたいものです。


最後に宣伝🎶


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バレエ「ラ・バヤデール」の時代背景

「ラ・バヤデール」というバレエ作品があります。
現在新国立劇場バレエ団が上演中で、私も昨日鑑賞してきました。(鑑賞記は後日!)
で、このバレエは、ニキヤとガムザッティという2人の女性がソロルと言う戦士を巡っての争い、というのがザックリした大筋の内容なのですけど、その背後にあった世界情勢を今日は綴ってみます。

以前ライムライトさんと参加した”バレエ史研究会”で、振付家マリウス・プティパについて学びました。
(この時の様子は、YouTube動画にアップしています!)
その際レクチャーくださった先生が、プティパ作品と帝政ロシアの外交、内政、時事問題について年表にまとめてくださいました。

当時はアレクサンドルⅡ世の時代、ラ・バヤデールの初演年は1877年。
対英政策として「グレート・ゲーム」があって、それが中央アジアを支配下において国土を広げていきたいということで、イギリス側と争った訳です。

参考リンク→英露のグレートゲーム…中央アジアとイラン

ロシアは【不凍港】を手に入れたいと、南へ進路を広げる、イギリスはそれを阻む。
ちょうどその中にインドがあって、そのため「インドもいずれ我が手中に収めたい・・」という目論見から、このバレエ作品を創ったそうです。

ライムライトさんが「バレエの図書館~世界史」でも書かれていたと思いますが、ロシアは帝国時代からバレエを国力の一つとして利用している面があると感じます。
フランスにおいてバレエが栄えた時は、そこまでじゃないように感じるけど(ルイ14世の庇護の元、とあるので、大切にしていたもの、という個人的な認識)
言ってしまえば、それだけ利用価値があるというのかな。今でもバレエが好きな人は、どっぷり熱中しちゃいますもんね。
そんなミニ知識の中、このバレエ作品を鑑賞するのも良いかもしれません。


ちなみにプティパ個人は純粋にバレエを大切にしていた人のようですし、時代的に仕えてる場での命令も有る訳ですから、とにかく職人的に沢山バレエ作品を創ったそうです。
時代が違うと当然人の考え方も違いますから、その部分は現代の私達がしっかり認識すべきことかなとも思っています。


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ロイヤルバレエシネマビューイング 「ラ・バヤデール」鑑賞

バレエ教師兼ダンサーの河合かや野です。

ロイヤルバレエシネマビューイング
「ラ・バヤデール」を映画館で鑑賞してきました。

(画像はお借りしました。)

ラ・バヤデールは古代インドを舞台にしたお話し。
巫女のニキヤと相思相愛の戦士ソロルとの恋物語、なのに
陰謀からの殺人事件、阿片による幻覚、そして最後は神の怒りによる崩壊・・・
でもこんなにも濃厚な人間の心の機微を、よく演じきってくださってます。

ニキヤのマリアネラ・ニュネスさん、身体が衣装そのものでした!
何を纏っても美しい。
ガムザッティのオシポワさん、気が強いだけでなく
切なさも垣間見えて、ある意味憐れでもありました。

演出のナタリア・マカロワさんも最後はステージに登場され
出演者たちからの温かい拍手の中に居られました。
じんわり・・・・

私も過去に何度か「影の王国」には出たことがありますが
本当にあの傾斜を、アラベスクで降りてくるのは辛い・・・
だけど、心が鍛えられます。失敗は許されない!と言う想いもあるけれど
頑張ったね!と言う気持ちが、終わった後皆と共有できるので。

古典バレエのコール・ド・バレエをしっかり踊れるようになると
バレエの技術が上がり、バレエ団の質も上がると
インタビューでも言っていましたね。

シネマビューイングを見てて面白いのは
リハーサル風景が必ず映し出されること。
こんな風に進めてるんだね、と言うのが分かるのが面白い。
舞台は完成された形が観れるもの。
だけどリハーサル風景で、クリエーションしてる様子は
興味深い点が多いと感じます。

そうそう、World Ballet dayでいつも気になっていた
オルガ先生が、インタビューに出ておられました^^

声の響きが心地よくて
レッスンの流れも、とてもリズミカルで明るくて
バヤデールのリハーサル風景にも登場されていましたよ。

 

バヤデールは、本日まで!ですが、
またまた他の演目のラインナップが続きます。

沢山舞台は観た方が良い。で、観れないなら映画館も利用しちゃう。
Youtubeも有る時代。そこらへんは活用次第で
自分の感性、高めていけることはできちゃいますね。
そして、やはり誰しも「努力」してるんです。
その結晶がギュッと詰まってるのが、舞台。

*****************

普段バレエについて感じてることを、話してみませんか?
何かしらのヒントになる時間です。
1/27(日)は、いかがでしょうか?
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4月に舞台出演の機会があります。
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ラ・バヤデール鑑賞記

昨日は日本バレエ協会の”ラ・バヤデール”公演を観てきました。

「ダンススクウェア」と言うサイトで、チケットプレゼントがあるのですが
ダメ元で(本当に軽い気持ちで)応募してみたら、なんと当たっちゃったのです!!!
しかもペア!

五月さんの日に、どうしても行きたかったので
これは引寄せたなぁと。(ようやくカミングアウト!)

久々の東京文化会館は、とても華やかでした。

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またこの舞台に立ちたい。
今回は観客でしたけどね。

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私は4階席で拝見してましたが、ニキヤが登場した時の空気の違い。
そして、ニキヤ演じる五月さんの表情がくっきりと見え
主役のオーラってこういうものだなぁと、改めて感じました。

ガムザッティの法村珠里さんとの関西対決も、中々興味深かったです。
お二方とも関西の大きなバレエ団の主役ダンサーですから
ニキヤとガムザッティの対決シーンは、ちょっとゾワゾワっとしましたね。

法村先生監修のラ・バヤデールは、エピローグの場面もちゃんと有って
物語としての終了の仕方も分りやすく、そして格調高い舞台でした。

出演者の皆さま、本当にお疲れ様でした。


最近は舞台を余り見ること無く、ただバレエのお稽古してるだけの方、
結構居られます。
でも生の舞台を観ることで、主役の存在感はじめ
ソリストやコール・ド・バレエのフォーメーション
そして踊りのエネルギーを感じることも、とても大切だと思うのです。

もっと舞台を観に出掛け、まず知ることから始めましょう。

身体中の血液が逆流するような感覚や感動を沢山味わってこそ、感性は磨かれると思うんです。

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★さて、良い舞台を観た後は、またまた踊りたくなってきました!
そして自分の感性を高め、まい進したい人との出会いを求める気持ちも
さらに明確に、なってきました。

私が主宰してるバレエスタジオは
「その人それぞれが、もっと輝くように」をテーマに
バレエで心と体を調和させ、歌うように踊りたい方を求めています。

感性を磨き向上心を持って、バレエのお稽古に励みたい方
ご自分の可能性を信じ、長所を伸ばしたい方 等
ご自分の意思を持ってレッスンしたい
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引き出すお手伝い、いたしますよ。

何かピンとくるものが有る、とお感じになりましたら
どうぞお気軽に、お問い合わせください。

***

KAYANO BALLET BLOG~踊る心~
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