「舞台鑑賞」劇場では気を付けて編 2

劇場という場所は

「歌舞伎、演劇、オペラ、バレエ、ミュージカル等を
演出の”照明”や”音響効果”を使って上演する場」のことを指します。


照明効果は演者やダンサーを照らし、観客を舞台上の世界=”非日常の世界”へ引き込みます。
また舞台が始まる前に”暗転”になりますが、それが誘導の合図。

そんな時、スマホやタブレット、またはスマートウォッチ等の”光”があると?
現実に戻されてしまいます。演出効果の妨げというのは、そういったことを言います。
夜道でも暗闇の中で何か光ってると、目立ちますよね。

目の働きには、違和感のあるものを見つけ出してしまう性質があり「あれ?」と視野に入ってきてしまったものに対して、脳が拾ってしまう。なので光が消えても、観ることに集中し辛くなる。
そのため飴やガムのカサカサ音もですが、こういった明かりも出さないようにして欲しいもの。
※プログラムが見たいから、上演中にスマホで照らすとか・気持ちは分かるけど終わってから見ればいいじゃない?


その他は、前回鑑賞した「シェイクスピア・ダブルビル」でのハプニング。

椅子の背に背中を付けて観ないと、トラブルの原因になってしまいますよね。
その他スマホ着信音やアラームの音とか。
なのでマナーモードではなく電源を切るか、場所によっては機内モードにしたりしています。



劇場とは違いますが、以前訪れた箱根の『岡田美術館』
ここはカメラやスマホ、タブレット、飲食物は一切持ち込めません。
(入場時に全員、貴重品ロッカーに預けます)
美術館自体も大きくて、結構見るものがあるのですが

⁂展示陳列品を照らす、照明が実に綺麗
⁂展示品を囲っているアクリルガラスが高性能で、光の照り返しが無い

これも美術館側の工夫と演出。「展示品の世界」に入りやすかったなぁと思いだします。
もちろん仕様が違うので真似はできないけれど、そんな場所もあります。



世の中には日常を持ち込んで良い場所と、持ち込んではいけない場所があり、そこをしっかり分けられるから『舞台鑑賞』を楽しめる。
劇場や美術館もただ展示を見せていたり、演目を上演しているだけでなく【文化を発信している】場なので、そういった位置づけも理解してもらえたらなと。
それは決して”ハードルが高い”ことではなく、ある一定のルール。
心の栄養を満たすために行く場所だから、鑑賞後の余韻のためにも、ぜひどうぞよろしくお願いします。


照明仕込み中の大和シリウス。
8月にこちらで踊ります。
がんばろ



”健康で美しくバレエを踊れるための、質の良い指導”を心がけて23年。
大人のバレエクラスを参宮橋と目白にて、子供のバレエクラスを近県の幼稚園で開講しています。

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「舞台鑑賞」劇場では気を付けて編 1

舞台鑑賞、折角楽しみたくて行ったのに、そこで残念なことがあった・となると悲しいですよね。
劇場は知らない人同士が隣り合わせることも多いため、一定ラインの『決まり事』があります。

昨日はブログで、こんなことを書きました。

2幕のアダジオのシーンでバイオリンの音色が響くのですが、その時に後列から飴を食べるガサガサ音が・・現実に引き戻されてしまった(涙)
ほんと止めて欲しい。

わずかな雑音(異音)でも劇場では拾ってしまうことを、観に来る側は心して理解してと願います。
他のお客様の迷惑になる、というのは場の空気を壊すことなので。

新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」鑑賞記

上演前に

ご鑑賞中の飲食は固くお断りします。

というアナウンス、必ず流れますがホール内は飲食禁止です。
「お握りやサンドイッチ食べてる訳じゃないし~」とか思われるかもしれませんが、上演中は飴やガム、一口チョコレート等もご遠慮願いたい訳です。


なぜなら、「ビニール袋のカサカサ音がするから」

劇場では「カサカサ音」、即”ノイズ”に変わります。異音と言った方がいいかな。
この状況でなぜこの音が?等、特に敏感な人はすぐ感じ取ってしまう。
また咀嚼音もノイズとして拾っちゃいます。いやほんと、半径2、3メートル位まで絶対聞こえてる。
ボリボリ・・・いや、ほんまやめてー・・。
これは劇場の仕様がそうさせるんですよね。音楽が隅々まで届くように設計されているから。
日常生活であれば消えて(隠れて)しまう音でも、劇場では聴こえちゃうもの。
これが観てる側の集中力を途絶えさせてしまい、不快感の元に。


今は幕間の休憩時間が長くなりました。新国立劇場バレエの場合、25分あるかな。
その他でも30分とか20分位あります。ロビーで少し小腹を満たしたり軽くドリンク(お酒も含む)を嗜めるようになりました。(※劇場や催しにもよりますのでご確認ください)
その時まで我慢、または開演前に少し食べて備えましょう。
個人的には、空腹がグーグー鳴ってる方が好感持てます^^ 
皆さん何かしらの用事を済ませてここへ駆けつけて来てる訳ですから、「前もって」が出来ない場合だってあるわけで。


★明日はもう一つの”気を付けて”編予定。
マナーは相手から見て不快に思わないこと、を指します。
知らずに「残念な人」になってしまうのはもったいないし、また折角の観劇が楽しめますように。

こちらは東京文化会館。
座席の色がこんな風に変わっています。



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新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」鑑賞記

新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」鑑賞。6/11(日)13:00の回です。
今回は出遅れてしまい諦めていたのですが、前日に【おけぴチケット救済】で4階席のチケットを入手。
幸運でした。

新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」ピーター・ライト版、私は初見。
(新国立劇場バレエ団では、2021年に初演)
過去に出演した日本バレエ協会公演の”コンスタンチン・セルゲイエフ版”とか、その他の”テリー・ウェストモーランド版改訂”等とはかなり違っていて(その他にも昔のバレエ教室●●先生版とかも)印象としてかなり重厚感のある振付と思いました。
※ネタバレもありますが、よろしければお読みください。

******************************************
オデット/オディール 柴山 紗帆
ジークフリード王子  伊沢 駿
王妃         楠本 郁子
ロットバルト男爵   中島 駿野
ベンノ(王子の友人) 速水 渉悟


【重厚な第1幕】
冒頭シーン、父王の葬儀の場面から始まります。これまで出演したのは殆ど全て、前奏が流れた後にはパッと明るい照明と共に、王宮の庭で歓談する貴族のペア達が大勢出てきます。
でもライト版は貴族達は登場はするものの、喪中のため照明が暗め。
そしてお母様の王妃は父王亡き後の今後の采配で頭がいっぱいで、王子が明日21歳の誕生日を迎え婚約者を決めなければならない、というマイムも切実な感じに見えました。

衣装のデザインが、まるでシェイクスピアのお話に出てきそうな時代背景。
重々しい雰囲気のため、近くに座っていた子供達がちょっとモゾモゾ・間がもたなそうな感じでしたが、芸術監督吉田都さん【大人が楽しめるバレエ作品】を徹底されてる感。

1幕のパ・ド・トロワは通常「王子の友人達」という設定。ライト版は「クルティザンヌ」=”高級娼婦”が王子の友人・ベンノと踊ります。友人のベンノは「まぁ、気晴らしに遊ぼうよ」と言った感じ。
このベンノが素晴らしかった!テクニックもだけど、場が明るくなりました。
でも王子はお母様に言われたことや責任の重さにズシンと来ていて、そんな気分じゃない訳です。この心理描写がとても分かりやすく、今までの版だと「気が紛れることしていれば、僕幸せなのにぃ」と言う甘えんぼちゃんにも見えたので。



【バレエ・ブランにうっとりな第2幕】
冒頭は有名な「情景」から。やはり良い音楽だな♬チャイコフスキーは天才だ!と感じた後、湖の様子がキラキラしてて、4階席から見るととても立体感がありました。

さて、通常の「悪魔ロットバルト」は「魔術師ロットバルト男爵」。
魔術でオデット達を白鳥にしちゃったのか・なので梟ではありません。
ロットバルト男爵は(私の想像ですが)、ところどころで王子にも魔術をかけています。
狩りで白鳥を追いかけ、白鳥達が整列しているところに王子の友人達が弓矢を構える際それを止めに入るのですが、多分王子にしか人間になったオデットの姿は見えてないんじゃないか?と感じました。

オデットの柴山さんが細くて儚げで、王子の井澤さんのちょっと弱気な可愛らしさ(優し気で良いとこの坊ちゃん風)とよくマッチしていました。ロットバルト男爵は中島駿野君。すっかり貫禄ある役が似合うように。

白鳥といえばコール・ド・バレエ。フォーメーションの様式美が美しい。上から見てると綺麗な図形が様々に形を変えそして揃っていて、本当に古典バレエの醍醐味。(昔、沢山踊ったなあ・)
ライト版はオデットが踊るソロの時、傍にずっと王子が居るのが良いなと思いました。
好きな相手の側に居たい王子の心理?そういった細かい部分もお芝居で分かるようになっていて、観ていて楽しかったです。

※重要※2幕のアダジオのシーンでバイオリンの音色が響くのですが、その時に後列から飴を食べるガサガサ音が・・現実に引き戻されてしまった(涙)ほんと止めて欲しい。
わずかな雑音(異音)でも劇場では拾ってしまうことを、観に来る側は心して理解してと願います。
他のお客様の迷惑になる、というのは場の空気を壊すことなので。


【ワクワクな第3幕】
管楽器の重低音で始まる、この幕大好き。チャイコフスキーの音楽の層の厚さを感じます。
各国の姫=ハンガリー、ポーランド、イタリア、我こそは!とアピールしながら踊り、従えてきた各国の民族舞踊も華やか。
何度か改訂された後挿入されなくなった(と言った方が良い?)楽曲が、王女たちのソロに使われていました。個人的には好きな曲なのです。
ロットバルト男爵の登場の後オデットが出て来て、そしてその後スペイン、という流れは変わりませんが、スペインはやはり悪の象徴のままかな。

王子と黒鳥(オディールの)グランパドドゥが美しい。柴山さんは黒鳥っぽいなあ・と感じたのですが、4幕を見た後それは打ち消されました。
コーダの32回転、ちょっと勢い付きすぎたのかヒヤッとしたけれど、でもやはりグルグルと。
いつも想うのは「なぜ王子は騙されたか?」うーん・・純粋すぎるのかもですね。
だから昨日愛を誓った人と似てるけど、あれ違うんじゃない?と心では思っても、押し切られて結婚誓っちゃったりするんじゃないのかなと・


【最後の闘い、の4幕】
”スモーク”が焚かれた森の中の風景。白鳥達を自分も踊っていた時感じた疑問、主で有るオデットが死んでしまった後、彼女たちはどうなったんだろう・と。
裏切られて悲しみながら森へ戻ってきた後、オデット自身覚悟を決めるんでしょうね。だから付いてきた侍女(白鳥たち)も、主と運命を共にする気持ちになるんだろうな。
そこへ王子がやってきてひたすら謝り、オデットは赦す心の広さがあって・でもロットバルトは邪魔をする。そして最後の闘いを終えた後オデットは自死、王子は後追い、白鳥達は総出で反抗、ロットバルトは魔力を失い滅び、そしてベンノが・・と言うラスト。


【個人的感想】
プログラムを読み返すと「死ぬことによって結ばれる永遠の愛」とあるのだけど、ハッピーエンドではない。ただ2人で天国行って幸せになろうね、という結末。でも少しリアルな描き方でした。
それにしても重厚な演出で、こんなに白鳥の湖って観るのにエネルギー要ったかな?と。
見飽きちゃった気でいたけれど演出が変わると新鮮に感じますし、「お芝居を見ている」気持ちになりました。
6月18日までです。
千穐楽までダンサーの皆様たちが、怪我無くアクシデントなく踊られますことを願っています。


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新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」鑑賞

先日鑑賞してきた「シェイクスピア・ダブルビル」
ようやく感想が書けます♬

まず、私は殆ど当日券で買うことが多く
余程「これ、人気演目やねー・」
とならない限りは事前に買わない、変な人です^^;
今回も当日券で観に行きましたが、安めのお席でした。(お財布事情によります)
これは自分でも納得の上なので、多くを求めないと言うか
(求めるなら、事前にS席やA席を買っておけば良いので)
舞台を観れるだけでも良いと言う気持ちで、観に行ってます。

新国立劇場は、詳しい方なら分かると思いますが
4階席の傾斜が、かなり急。
見方を変えると、傾斜を急にすることで
(可能な限り)安い席の方にも楽しんでもらおう、と言う配慮かなと。
でもそのためには、背中をしっかりと座席に付けて観る必要があります。

私が観に行った日は4階L列で、舞台の4/1は見えませんでした。
席種的に見えなくても文句は言えないけど
下手側でのキーポイントになる演技が殆ど見えず
(※そういう場合は、私は何が起きてるかを想像するようにしてます。)

すると、L列の舞台張り出し席の若干名が前にのめりだして観ていたため
私の前列のおじいちゃまが「見えないだろう!背中つけてくれよ!」と
上演中に注意されたのです。
声自体はそんなに大きくないものの、結構周りには響いたようで
(ただそのおじいちゃまも、かなり堪えていたのが分かります)
真後ろの席の私としては、ちょっと興醒め・・・

そう、こういうのが一番厄介。
舞台って非日常を味わう場所なのに
なに、現実に引き戻してくれんてんねん、ゴラア!

とは言わないけれども
なんで自分だけが、観たいと思ってんのよ?ああん?
とは思います。
(これは、前のめりしてた、人に対して)

お陰で、前の人の頭が動く➡私も動かさざるを得ない
の、ウェーブの連続で・・ マクベスは余り堪能できませんでした。

『マクベス』
マクベス:奥村 康祐
マクベス夫人:小野 絢子 

「血みどろ」と言う表現も確かにしっくり来るけれど
人間の”欲の表れ”ですね。権力への欲。
小野絢子さん演じるマクベス夫人が、とても巧にマクベスを煽り
奥村康祐さん演じるマクベスが、見事にそれに応え
王をはじめ、自分の周りを粛清していく有様が見られます。
最期、マクベス夫人は自死の道
マクベスは殺められる・・


※そして休憩中に、劇場係の方にこのことを相談したところ
なんと、お席を変えてもらえることになりました!♡
しかも自分が購入したよりも良いお席。
※3階席の正面エリアの右端。

その後は『真夏の夜の夢』
タィターニア:池田 理沙子
オーベロン:速水 祥悟
パック:石山 蓮
ボトム:福田 圭吾

ヘレナ:増田 裕子
ディミートリアス:小柴 富久修
ハーミア:中村 春菜
ライサンダー:小川 尚宏

2つのカップルの悲喜こもごも&妖精の王&妃の関係が
なんか一時ややこしくはなるけれども、最後はハッピーエンド。
こちらは全体的に「可愛らしい」印象の作品で
マクベスの血みどろさを洗い流してくれました。
重厚な作品の後に可愛らしく心温まる作品が来ると、ホッとするけれど
重厚な作品を演じたダンサーの心理面を、ふと感じてしまう自分がいます(笑)

その昔、ギリシャ喜劇とギリシャ悲劇に始まり
シェイクスピアやその他の戯曲を数十冊読む
と言う課題授業をこなした身としては
「悲劇の方が、より人間の本質が出る」
と言うことが、なんとなくわかる気がします。

演じることの大変さに加え
しかもかなり大変&大胆な振付で
ダンサーの皆さんの対応力、頑張りに拍手です。

5/6が千穐楽。
お時間ある方はぜひ(^^)/


”健康で美しくバレエを踊れるための、質の良い指導”を心がけて23年。
大人のバレエクラスを、参宮橋と目白にて開講しています。
ただいま春のキャンペーン中。

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