新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」鑑賞。6/11(日)13:00の回です。
今回は出遅れてしまい諦めていたのですが、前日に【おけぴチケット救済】で4階席のチケットを入手。
幸運でした。
新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」ピーター・ライト版、私は初見。
(新国立劇場バレエ団では、2021年に初演)
過去に出演した日本バレエ協会公演の”コンスタンチン・セルゲイエフ版”とか、その他の”テリー・ウェストモーランド版改訂”等とはかなり違っていて(その他にも昔のバレエ教室●●先生版とかも)印象としてかなり重厚感のある振付と思いました。
※ネタバレもありますが、よろしければお読みください。
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オデット/オディール 柴山 紗帆
ジークフリード王子 伊沢 駿
王妃 楠本 郁子
ロットバルト男爵 中島 駿野
ベンノ(王子の友人) 速水 渉悟
【重厚な第1幕】
冒頭シーン、父王の葬儀の場面から始まります。これまで出演したのは殆ど全て、前奏が流れた後にはパッと明るい照明と共に、王宮の庭で歓談する貴族のペア達が大勢出てきます。
でもライト版は貴族達は登場はするものの、喪中のため照明が暗め。
そしてお母様の王妃は父王亡き後の今後の采配で頭がいっぱいで、王子が明日21歳の誕生日を迎え婚約者を決めなければならない、というマイムも切実な感じに見えました。
衣装のデザインが、まるでシェイクスピアのお話に出てきそうな時代背景。
重々しい雰囲気のため、近くに座っていた子供達がちょっとモゾモゾ・間がもたなそうな感じでしたが、芸術監督吉田都さん【大人が楽しめるバレエ作品】を徹底されてる感。
1幕のパ・ド・トロワは通常「王子の友人達」という設定。ライト版は「クルティザンヌ」=”高級娼婦”が王子の友人・ベンノと踊ります。友人のベンノは「まぁ、気晴らしに遊ぼうよ」と言った感じ。
このベンノが素晴らしかった!テクニックもだけど、場が明るくなりました。
でも王子はお母様に言われたことや責任の重さにズシンと来ていて、そんな気分じゃない訳です。この心理描写がとても分かりやすく、今までの版だと「気が紛れることしていれば、僕幸せなのにぃ」と言う甘えんぼちゃんにも見えたので。
【バレエ・ブランにうっとりな第2幕】
冒頭は有名な「情景」から。やはり良い音楽だな♬チャイコフスキーは天才だ!と感じた後、湖の様子がキラキラしてて、4階席から見るととても立体感がありました。
さて、通常の「悪魔ロットバルト」は「魔術師ロットバルト男爵」。
魔術でオデット達を白鳥にしちゃったのか・なので梟ではありません。
ロットバルト男爵は(私の想像ですが)、ところどころで王子にも魔術をかけています。
狩りで白鳥を追いかけ、白鳥達が整列しているところに王子の友人達が弓矢を構える際それを止めに入るのですが、多分王子にしか人間になったオデットの姿は見えてないんじゃないか?と感じました。
オデットの柴山さんが細くて儚げで、王子の井澤さんのちょっと弱気な可愛らしさ(優し気で良いとこの坊ちゃん風)とよくマッチしていました。ロットバルト男爵は中島駿野君。すっかり貫禄ある役が似合うように。
白鳥といえばコール・ド・バレエ。フォーメーションの様式美が美しい。上から見てると綺麗な図形が様々に形を変えそして揃っていて、本当に古典バレエの醍醐味。(昔、沢山踊ったなあ・)
ライト版はオデットが踊るソロの時、傍にずっと王子が居るのが良いなと思いました。
好きな相手の側に居たい王子の心理?そういった細かい部分もお芝居で分かるようになっていて、観ていて楽しかったです。
※重要※2幕のアダジオのシーンでバイオリンの音色が響くのですが、その時に後列から飴を食べるガサガサ音が・・現実に引き戻されてしまった(涙)ほんと止めて欲しい。
わずかな雑音(異音)でも劇場では拾ってしまうことを、観に来る側は心して理解してと願います。
他のお客様の迷惑になる、というのは場の空気を壊すことなので。

【ワクワクな第3幕】
管楽器の重低音で始まる、この幕大好き。チャイコフスキーの音楽の層の厚さを感じます。
各国の姫=ハンガリー、ポーランド、イタリア、我こそは!とアピールしながら踊り、従えてきた各国の民族舞踊も華やか。
何度か改訂された後挿入されなくなった(と言った方が良い?)楽曲が、王女たちのソロに使われていました。個人的には好きな曲なのです。
ロットバルト男爵の登場の後オデットが出て来て、そしてその後スペイン、という流れは変わりませんが、スペインはやはり悪の象徴のままかな。
王子と黒鳥(オディールの)グランパドドゥが美しい。柴山さんは黒鳥っぽいなあ・と感じたのですが、4幕を見た後それは打ち消されました。
コーダの32回転、ちょっと勢い付きすぎたのかヒヤッとしたけれど、でもやはりグルグルと。
いつも想うのは「なぜ王子は騙されたか?」うーん・・純粋すぎるのかもですね。
だから昨日愛を誓った人と似てるけど、あれ違うんじゃない?と心では思っても、押し切られて結婚誓っちゃったりするんじゃないのかなと・
【最後の闘い、の4幕】
”スモーク”が焚かれた森の中の風景。白鳥達を自分も踊っていた時感じた疑問、主で有るオデットが死んでしまった後、彼女たちはどうなったんだろう・と。
裏切られて悲しみながら森へ戻ってきた後、オデット自身覚悟を決めるんでしょうね。だから付いてきた侍女(白鳥たち)も、主と運命を共にする気持ちになるんだろうな。
そこへ王子がやってきてひたすら謝り、オデットは赦す心の広さがあって・でもロットバルトは邪魔をする。そして最後の闘いを終えた後オデットは自死、王子は後追い、白鳥達は総出で反抗、ロットバルトは魔力を失い滅び、そしてベンノが・・と言うラスト。
【個人的感想】
プログラムを読み返すと「死ぬことによって結ばれる永遠の愛」とあるのだけど、ハッピーエンドではない。ただ2人で天国行って幸せになろうね、という結末。でも少しリアルな描き方でした。
それにしても重厚な演出で、こんなに白鳥の湖って観るのにエネルギー要ったかな?と。
見飽きちゃった気でいたけれど演出が変わると新鮮に感じますし、「お芝居を見ている」気持ちになりました。
6月18日までです。
千穐楽までダンサーの皆様たちが、怪我無くアクシデントなく踊られますことを願っています。

”健康で美しくバレエを踊れるための、質の良い指導”を心がけて23年。
大人のバレエクラスを参宮橋と目白にて、子供のバレエクラスを近県の幼稚園で開講しています。
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