16小節のインプロビゼーション(即興)

木曜日のポワントクラス後、レヴェランス(最後のご挨拶)につながる音楽で、16小節だけ受講生に即興で振りを創ってもらうことがあります。
振りを創る、と言ってもそんなに大げさなものではなく、自分の好きな事をやっていいよー、と言った感じのもの。
最初は恥ずかしがったりしますが、そのうち何回かリピートさせてあげると、その短い中に良くなってくるものが見えてきます。

インプロ(即興)と言うと、すごく大げさに感じるのかもしれませんが簡単に言うと「閃き」です。
その閃きを自分で信じるか信じないか。それが16小節の中でもちゃんと見えるのです。

自分のやりたいこと、なりたい姿を具体的にイメージして、それに向かって時間を使おうとよく言われますが、実際にある程度「見れる」状態になるのに1000時間、熟練するまでには10000時間かかると言われています。

私は34年バレエを踊って来てるので、多分10000時間は超えることが出来ましたが、熟練すると言うことは自分の中に失敗も成功も含めて何度もブラッシュアップしてきている、と言うことなのですね。


2006年の発表会での作品。”バッハ組曲” 撮影は長谷川清徳さん。

この作品を創った時、一緒に踊ってくれた生徒さんと色々な話をして、彼女の内面にあるものを見て感じたものを振りにしました。
バッハの単調なリズムとメロディーの中でも、とても温まる数分間の作品で、そしてこの時の発表会出演者がとても少なく、いつも心のどこかで苦しんでいたのが踊ることによって解放され、自分が強くなりだした序奏にも思えたのでした。

踊る事でいつも強くいられるのはこの頃からかな・・。